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急須の口に付いている透明なチューブ

原稿

おはようございます。

先日買い物に行ったときに「急須の口」が売られているのを見かけました。

急須というのはもちろんお茶を入れるときに使う急須のことで、注ぎ口のところに短い透明なチューブが付いていると思います。 その透明なチューブだけが単体で売られていました。

たぶん、チューブがなくなったり壊れたりした人のために単品で売っているのだと思いますが、 それを見てちょっと思い出した話があるので、それを話したいと思います。

あるヨーロッパの教会での話です。

その教会の神父さんが野良猫を拾ってきて教会で飼っていたのですが、神父さんがお祈りをするときに猫がいたずらをするので、 お祈りのときには猫をヒモで祭壇の脚につなげるようにしていました。

やがてその神父さんが亡くなって、2代目の神父さんがその猫の世話をすることになり、 お祈りのときは1代目の神父さんと同じように、猫を祭壇の脚につなげていました。

3人目の神父さんの代になると、最初にいた猫はもういなくなっていましたが、 前の神父さんのことを思い出して、自分も同じように猫を飼って、お祈りのときには祭壇の脚につなげるようにしました。

4人目の神父さんの代になると、生きている猫だと世話が大変だということで、石の猫を作って祭壇の脚の横に置くようにしました。

5人目の神父さんは、床に置かれている石の猫を邪魔だと感じて、祭壇の上に置くことにしました。

6人目以降の神父さんたちは、祭壇の上の石の猫に向かってお祈りをするようになり、 いつの間にかこの教会では祭壇の上にある石の猫は神聖な存在ということになりました。

はい、という話です。
まあ、この話で何を言わんとしているのかはなんとなくお分かりかと思いますが、 ここで、最初の急須の話に戻りたいと思います。

急須の口に透明なチューブが付いているのは、おそらく見たことがあると思いますが、 なぜこのチューブが付いているのかというと、商品の輸送時に注ぎ口の先端を保護して、破損しないようにするためです。 あくまでも輸送時の商品保護が目的ですので、店で買って、家に持ち帰った後は、このチューブを外して使うのが本来の使い方です。 チューブをつけたままにしておくと雑菌が繁殖しやすくなるので、衛生面から見ても、外して使った方がいいと言われています。 ですので、このチューブを付けたまま使うというのは実は間違った使い方で、なくなったからといって買い換える必要も、本来ならばありません。

しかし、人間心理なのかどうかは分かりませんが、買ったときに付いていたものは必要だから付いているのだろう、ということで、 チューブを付けたまま使い続けて、それがなくなったら新たに買い足す、と。 全員ではないにしろ、そういうふうに使い続ける人もいるということで、チューブ単体で売られているようです。

「元々こうだから」とか「昔からそうだから」というように、それが当たりの前のことのようでも、 実はそれは当初の目的から外れていたり、時代の流れで無意味になっていたりすることもあるのではないかという話です。

ただ、逆の見方もあって、 先ほどの教会の猫の話では、最初は野良猫だったのが最後は神聖な存在として祭られるようになるというふうに、 無意味なことでも続けることで価値が生まれることもある、というふうに見ることもできます。

急須のチューブについて言うと、売る側としては本来必要のないものでも、買う人がいるので売れます。 買う側としては、それが本来は輸送時の保護のためと知らなくても、チューブが付いていたほうが注いだ後に垂れなくて湯切れがいいというような、 そういう便利な部分を見つけたりしている、と。

まあ、このように見方によっては肯定的な話と考えることもできると思います。 結局は物事は考えよう、気の持ちようということだと思います。

はい。
ということで話は以上です。

補足

評価:28点

当たり障りのなさ E 意識高い感じを消しきれませんでした……。
覚えやすさ B
いつでも使えるか? A
今後も使えるか? C あまり急須が使われなくなって、急須のチューブとは何かを知らない人が増えた場合。 または、購入後は急須のチューブが不要であることが世間一般に浸透した場合は使えなくなる。
誰でも使えるか? B 急須メーカーの人などは周知の知識だったりして使えないかも。

A-良い(10点)  B-やや良い(7点)  C-普通(4点)  D-やや悪い(1点)  E-悪い(0点)
ただし「当たり障りのなさ」は点数6倍

この原稿で使用している技

黄金体験

急須の口が売られているのを見かけた

語り部

「石の猫」の話

中和

あまりうまく意識高さを中和できていませんが、一応「急須の口に付いている透明なチューブ」という卑近なアイテムの話をすることで、あまりかっこいい話にならないようにしました。

あと「我々の仕事で、これまであたりまえにやっていたことでも、手順などを見直して効率化できるところがあるのではないでしょうか」などという、 いかにもありがちな結論には絶対にしたくありませんでした。